Key word

  • 気象ドップラーレーダー,風の観測
  • ドップラー効果,動径速度

はじめに

ドップラー効果を利用して風の観測を空間連続的に行う気象ドップラーレーダーについてまとめます.

観測方法

大気中の降水粒子に向けて電波を発信し,降水粒子で後方散乱して戻ってきた電波を観測します. ここで観測された電波の周波数遷移を解析しレーダーを中心とした動径方向の大気の速度を得ます.

ドップラー効果

ドップラー効果から遠ざかる対象に反射した電波は周波数が低くなり,近づく場合は高くなります. また,観測点と反射物の相対速度が大きいほどドップラー効果による周波数変化は大きくなります.

解析

観測されたドップラー周波数を解析することで大気の風速,風向を計算しそこからさまざまな大気現象を検出します. 動径方向の速度の強さ正負(原点に近づく/遠ざかる)に注意して,大気の風を復元します.

注意

周波数の変化から速度成分を逆算しますがドップラー周波数は動径方向の速度を反映している点に注意が必要です. レーダーを原点する観測点の位置ベクトルと実際の速度ベクトルが平行に近いほど動径速度が大きくなります.

周波数変化から風の収束,発散,回転などを検出しそこから大気現象を検出します. 気象予報士試験ではメソサイクロン,ウインドシア,ダウンバーストなどの検出が典型的な出題例です.

まとめ

連続的な風の観測を可能にする気象ドップラーレーダーについて観測方法と解析をまとめました. 解析の際にはドップラー効果の性質とレーダーの観測方向を考慮する必要があります.

参考

  • らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト 学科専門知識編 Chapter3