ウインドプロファイラ
Key word
- 風の観測,3次元
- ドップラー効果
はじめに
ゾンデ観測の代わりに上空の風の3次元的な観測を行えるウインドプロファイラ観測について基本情報と解析方法をまとめます.
観測方法
間隔
- 水平方向:メソスケール現象の解析を目的として,日本33箇所に設置し(平均観測密度は140km).
- 鉛直方向:300m間隔で大気乾燥時は高度3km ~ 6km,湿潤時は最大高度7km ~ 12kmまで観測.
- 時間方向:10分間隔で発表される.
原理
上向き5方向に電波を射出し,後方散乱により帰ってきた電波の周波数変化を比較し,3次元的に風を観測します. 降水粒子や大気の性状不連続面での電磁波の後方散乱を利用しています.
解析方法
前線の通過
ウインドプロファイラから得られた風の時空間分布から鉛直シア・水平シアを計算し極大となる部分から前線面を導きます.
降水時
降水時に観測する電波は降水粒子の3次元的な動きを観測したものと解釈できます. 観測から得られる水平方向の速度はそのまま大気の水平方向の速度と解釈できます. しかし,鉛直方向は降水粒子の落下速度を観測しているので大気の鉛直速度の値より下方向の速度成分が強く出ます. このため,観測データから大きな下降流が見られる層には降水粒子の存在を認めることができます.
一般に降水粒子が存在しない大気層では1m/sより小さい速度の下降流が観測されます. 降水粒子がある場合,雪は遅く1m/s,雨は数m/s程度の下降流を示します. このため,下降流の速度が1m/sから数m/sへ変わる境界層は「融解層」と判断できます.
まとめ
上空の風を3次元的に観測できるウインドプロファイラについてまとめました. レーダー観測に伴う降水粒子への注意点と風の3次元的な解析知識で理解できる内容でした.
参考
- らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト 学科専門知識編 Chapter3