Key word

  • 気象観測
  • 気温,風,降水

はじめに

観測の水平分解能

観測の分類 水平分解能 観測高度
気象レーダー(一般) 1km 対流圏(8~15kmエコー頂)
気象衛星観測 1~4km ほぼ対流圏内
地上観測(アメダス) 10~100km 地上または地表付近
ウィンドプロファイラ 100km前後 平均5~6km 最大12km
ラジオゾンデ観測 300~500km 30km(成層圏オゾン層超まで)

WMOが推奨する水平分解間隔は

  • 地上: 150km以下
  • 高層観測では陸上: 300km以下, 海上: 1000km以下

気温

観測方法と観測機器

気温の観測場所で重要な3要素

  1. 高さ: WMOでは地上1.25m ~ 2.0mを推奨
  2. 日射や地上からの輻射熱を避ける
  3. 風通しの良い場所で観測

観測機器

  1. ガラス製温度計: 移動・設置が簡単
  2. 金属製温度計: 構造上1°C程度の誤差あり.
  3. 電気式温度計(白金温度計): 気象官署やアメダスで使用.白金抵抗値の温度依存性を利用している.

最高気温と最低気温

地上気象観測において記録に残る最高・最低気温は「午前0時から24時間」の期間を対象としている. 天気予報においては

  • 最高気温: 「午前9時から午後6時までの最高気温」
  • 最低気温: 「午前0時から午前9字までの最低気温」

と定義している. このため,前日に予想された最低気温より午前9時以降に気温が低くなることもある.

地上気温の変化

気温変化へ影響を与える要因は放射平衡,水平温度移流,非断熱過程による加熱・冷却,地形効果(フェーン現象).

日較差: 最高気温と最低気温の差

日較差の大きさ

  • 天候: 晴 > 曇 > 雨
  • 湿度: 乾燥 > 湿潤
  • 地理: 内陸 > 沿岸
  • 季節: 春・秋 > 冬 > 夏

風向・風速

風向: 風が吹いてくる方角,16方位で表す.天気予報では8方位で事足りる.

風速: 単位はm/s.0.1m/s単位で観測する.kt(1kt=1海里/1h)を使うこともある. (1kt ~ 18.52km/h ~ 0.514m/s)

風の観測

観測機器: 平らで開けた場所の地上10mに設置するのが望ましい.

  • 風杯型: 60m/sが観測最大値.風速変動や風速の鉛直成分が含まれると実施より大きく風速を観測.
  • 風車型: アメダスや気象台で最も使用されている.風速変化には対応できないが風速の鉛直成分の影響は少ない.
  • 超音波式: cm/sの細かな観測ができる風速が弱い場合や気流の乱れ率を計算.

平均風速などの定義

0.25s毎に風向,風速が観測機器から出力される.風向,風速は10分間の平均値が発表される.

  1. 平均風速: 10分間の平均風速.1
  2. 瞬間風速: 3秒間の平均風速(0.25s毎の12個の平均)
  3. 最大風速: 平均風速の最大値
  4. 最大瞬間風速: 瞬間風速の最大値
  5. 突風率(ガストファクター): 最大瞬間風速/平均風速.大概は1.5~2.0の値に収まる.

風力

風の強さを表す階級付けがいくつか存在する.

ビューフォート風力階級: 0(0.3m/s未満) ~ 12(32.7m/s以上).

気象庁が示す風の強さ(10分間平均風速):

平均風速 風の強さ 状況
10m/s ~ 15m/s やや強い風 風に向かって歩きにくくなる.
15m/s ~ 20m/s 強風 風に向かって歩けない.
20m/s ~ 25m/s 暴風 銅製シャッターが壊れ始める.
25m/s ~ 30m/s 暴風 ブロック塀が壊れ始める.
30m/s ~ 35m/s 暴風(猛烈な風) 樹木が根こそぎ倒れ始める.

藤田スケール: F0(25m/s程度) ~ F5(130m/s程度).階級が上がるにつれて瞬間平均をとる期間が短くなる.

突風には明確な定義がなく,気象庁は「急に吹く強い風で継続時間の短いもの」としている.

降水

降水: 気象庁では「水蒸気が大気中で凝結や昇華して生じた液体や個体の生成物,あるいはそれらが落下中に凍結・融解してできた固体・液体の固形物が落下したもの」としている.

降水粒子

  1. 雨: 直径0.5mm以上の水滴からなる降水.層状性の雨なら0.5~1mm,対流性のなら1~5mm程度で大きさは疎ら.
  2. 雪: 水蒸気が昇華してできた氷晶がさらに成長し降水する.
  3. 霰・雹: 直径が5mm未満の氷が霰,5mm以上が雹.

降水量と降水強度

降水量: 降った雨や雪などが流れずに留まった水深をmmで計測したもの.降水が雪・霰・雹のときは溶かして水にして観測.

降水量の発表: 一般に過去1時間の降水量を発表する.24時間降水量

降水強度: 降水の強さをmm/hで表す.日本最大の降水強度は187mm/h

短時間降水量と発生頻度

  1. 50mm/h以上(総雨量は3hで100mm未満): 低地の浸水,河川の増水
  2. 80mm/h以上(総雨量は3hで200mm未満): そうそう起きないが梅雨前線や台風などの影響で毎年何処かでは起きている.
  3. 100mm/h以上: 数年に一度.

雨量計

転倒升型: 0.5mm単位で出力.雪の場合は電熱ヒーターで溶かす.

積雪

積雪: 積雪0cmを観測地点の地表面を雪や霰が半分以上覆った状態としている.2

積雪の深さ: すでに降り積もった深さ.

降雪の深さ: ある時間に新しく積もった深さ.

参考

らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト 学科専門知識編 Chapter1

注意

  1. 飛行場では2分間平均風速を使用. 

  2. 夏(6~8月)は積雪が起きないので積乱雲からの雹が積もっても積雪に含めない.