Key word

  • アメダス,気象観測

はじめに

日本全国に張り巡らされている観測網であるアメダス.その体制と観測統計についてまとめます. 気象庁は

  • 気象官署での地上気象観測
  • アメダスでの地域気象観測
  • ラジオゾンデによる高層気象観測

のデータを元にさまざまな統計値を公表している.

観測要素

アメダスでは主に降水量(0.5mm), 風速・風向(0.1m/s, 16方位),気温(0.1°C),日照時間(6分) の4要素(+積雪(1cm)))を観測しています.

観測密度と気象のスケール

観測密度

降水量のみの観測とその他も含めた観測をしている場所があります.

観測 設置数(箇所) 平均格子間隔(km)
降水量のみ 約1300 17
4要素 約840 21
積雪も含む 約310 雪の多い地方

気象におけるスケール

気象現象を水平スケールで分類できます.

  • マクロスケール: 2000km ~
  • メソスケール: 2km ~ 2000km
    • メソα: 200km ~ 2000km
    • メソβ: 20km ~ 200km
    • メソγ: 2km ~ 20km
  • マイクロ(ミクロスケール): 2m ~ 2km
    • マイクロα: 200m ~ 2km
    • マイクロβ: 20m ~ 200m
    • マイクロγ: 2m ~ 20m

メソβ以上の水平スケールを持つ現象はアメダスで捉えることができます. しかし,メソγ以下の現象(例えば,積乱雲)などは精度良く捉えることができません.

統計量の定義

気象官署1での統計量の定義との比較をします.

統計量 気象官署 アメダス|
日最高(最低)気温 任意の期間での最高(最低)気温 同様
日平均気温 毎正時(xx:00)の観測値の平均 同様
日1時間最大降水量 前日23:30から翌日00:30までの任意の1時間降水量の最大値 任意の1時間降水量の最大値
日10分平均最大風速 任意の10分平均の最大値 同様
日平均風速 1日の風程2 (m)/86400s(=1日) 毎10分(144区間)の風速の平均
日最大瞬間風速 任意の3秒間の最大値 同様
気圧 毎正時の観測値の平均 アメダスでの観測なし

用語の定義

1日の時間帯

1日を3時間ごとに区切り呼び分けます.

時間帯(時) 呼び方
0~3 未明
3~6 明け方
6~9
9~12 昼前
12~15 昼過ぎ
15~18 夕方
18~21 夜のはじめ頃
21~24 夜遅く

平年値

気象観測統計における平年値とは10年毎に更新する過去のある30年間における平均値です.

例: 2011年から2020年の間は1981年~2010年の30年間の平均値を平年値と定義します.

寒候期と暖候期

基本的には以下のようになっている.3

  • 寒候期: 10~3月
  • 暖候期: 4~9月

冬季に観測される気象要素の年統計

冬季のみ観測される積雪・降雪についての年統計の定義です. 期間を定義します. 8月1日~翌年7月31日を年統計の期間とします.

例: 7月31日に雪が降れば終雪,8月1日に降れば初雪となる.

日界

気象観測の1日の区切りを肉塊と言います.基本的に境界は前日に含めます.

例: 3日00:00の観測は2日24:00の観測とする.

まとめ

  • アメダスでは降水量, 風速・風向,気温,日照時間の4要素を観測している.
  • 日本の約840箇所で4要素を観測している.
  • アメダスでは積乱雲などメソγ以下の現象は精度良く捉えることができない.
  • 統計の定義(主に対象期間)には注意が必要なものもある.

参考

らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト 学科専門知識編 Chapter1 11

注意

  1. 気象官署とは気象庁,気象研究所,気象衛星センターなどの施設のこと. 

  2. 風程とは大気の流れた距離のこと. 

  3. 長期予報の場合は寒候期:10~2,暖候期:3~8