観測データ,客観解析,予報,基礎方程式

layout: post title: “数値予報1 数値予報の仕組み” date: 2021-07-10 08:51 +0900 dir: tags: ‘気象予報士’ description: “現代の気象予報において重要な数値予報の基本的な仕組みについてまとめます.” —

Key word

  • 数値予報,観測データ
  • 客観解析,データ同化

はじめに

現在の気象予報に欠かせない数値予報の基礎として観測データ,数値モデルとそれらを生かした予報についてまとめます.

観測データ

数値予報には処理された観測データが利用されています.さまざまな観測が行われていますが,基本的に陸上より海上の方が観測密度は低くなっています.そのため,海上での数値予報は相対的に精度が悪くなります.

観測の種類

現在行われている観測をいくつか紹介します.

地上気象観測

陸上を中心に会場でも少し観測しています.

高層気象観測

気球を飛ばすラジオゾンデ観測などで高層の大気を観測します.

静止気象衛星観測

静止衛星から大気を観測します.60度以上の高緯度地域は地球が球体であるために精度の良い観測データがほとんどありません.

極軌道衛星観測

北極と南極を結ぶ軌道を周回する極軌道衛星からの観測です.データが極軌道に沿った斜めの帯状に得られます.

基礎方程式

ナビエ・ストークス方程式に熱エネルギーや水蒸気の保存,気体の状態方程式を合わせたものをプリミティブ方程式と呼び.気象予報の数値モデルとして利用されます.

数値予報と客観解析

数値予報はモデルによる予報と観測データによる補正を繰り返して行われます. 各ステップで予測誤差も同時に推定し続けます.観測データが少ない海上などは数値予報の精度が悪化します.

数値モデルによる第1推定値

数値予報では地上に一定の間隔の水平格子を取り各格子点上の値を数値モデルに従って計算します.数値モデルによる予測値を第1推定値と呼びます.

観測データによる補正

数値予報では第1推定値を観測データで補正することによって,予測精度を向上させます.観測は必ずしも格子点上で行われるわけではないので各格子点近くの観測データを距離による重みをつけて平均することで格子点の値とします. 観測データで補正す流ことを客観解析という場合があります.

データ同化

上で見たような予報と解析の繰り返しにより大気の状態を精度良く推定する枠組みをデータ同化と呼びます.解析のステップではいくつかのデータ同化手法が利用されています.

まとめ

数値予報を構成する基本的な要素である数値モデル,観測データ,客観解析についてまとめました.観測データと数値モデルをうまく組み合わせてより良い状態推定を行う枠組みであるデータ同化を紹介しましたが詳細はまた別でまとめます.

参考

  • らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト 学科専門知識編 Chapter5